何気なく歩いていると、ここは余暇を過ごす街?!ヨーロッパの都市ではこのように感じることが多々あります。
アムステルダム南東部の東地区にあるアムステル駅はオランダ鉄道、アムステルダム市営交通メトロ3路線、駅前からはトラム12番線と10本以上のバス路線が頻繁に発着する大きな駅です。アムステル駅の西側のオフィスや住宅間を少し歩くとそこにはアムステル川が流れています。
川沿いに通るウェースペルザイデ通りはメーステル・トルーブラーン通りからアムステル駅西側の駅前地区に北側からアクセスする道路でクルマは多いものの反対の地区へは歩行者と自転車のみが通過できる都市デザインとなっているためクルマがスピードを上げて通行することはありません。
日本ではこのような街区内の道路にも車線を設けて他の街区に通過できる構造としてしまうために頻繁に通過交通が流れ込み常にクルマの走行音や自動車事故の起きる可能性が高くなることが多々あります。
ウェールペルザイデ通りの幅員はとても広く、自家用車向けの空間を最小限にしているため道路というより広場や公園といった感じさえします。
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さてさて、ヨーロッパの都市や建築の事例を目の当たりにするたびに思うことがあります…
もし日本で駅前の川沿いにこのような幅員の道路空間があったら。きっと片側2車線で1車線は駐車車両がたくさん、車道は交通量が多くガードレール両側に設置されます。また、自転車専用レーンはなく歩道で歩行者との危険な混在が起きます。さらにこれほど幅員が広いと予算をつけて何かのオブジェを置いたり、過剰な装飾付の欄干やタイルで過剰な模様舗装などなどするだろうと思い出し都市デザインのあまりの違いにがっかりします。
おそらく日本によくある路線ごとにデザインされすぎの道路より、オランダの面的にデザインされた都市の方が整備費用と維持費用は低く抑えられ、実用性はより高く良い空間となっていると思わざるを得ません!まさに持続可能な都市といった感じがします。
ヨーロッパの各都市、その中でもオランダには最小限と感じる都市空間はとても多く、どれも良いし!楽しいし!と感じます、都市デザインの違いに日本がオランダから学ぶことは非常に多いと思います。決して華美にするのではなく今ある都市をより良い空間に更新し続けるという都市デザインを日本も考えなくてはいけないと思います。新しく密度の低い都市を郊外に広げるより、昔からのコンパクトな都市を愛着を持って維持管理しながら使い続けるということを日本人は忘れてしまったのでしょうか。
日本には日本の良いところもたくさんあるとは思いますが、海外の事例などの現実にももっと目を向けて、地球の一員として人の都市は今後どうあるべきか柔軟に考えるほうがいいと思います。例えばインフラを最小限に、造ったら終わりではなく後世が維持するのに環境負荷や多額の税金がかかることを忘れずに都市を設計しなくてはいけないと思います。現に今現在オランダの都市デザインはこの事例のような空間が都市全体に面で出来ていますし、今この時も建築都市設計オフィス、役所の都市デザインオフィスや多数のコンペ開催などを通じて革新を続けていることでしょう。