URBAN DESIGN 365 : 6月 2013

2013/06/22

東京でオランダデザイン!空間がたのしくつながるMVRDV設計の表参道GYRE

東京表参道とキャットストリートの交わるところに、ひときわ素敵な建物GYREがあります。

GYREは竹中工務店が事業主として商業施設を開発したプロジェクトで、敷地に面する表参道の欅並木の街並みを生かしつつも話題性のある空間を生み出すために設計コンペが実施されました。

選考の結果、「回転させる」をコンセプトにして建物に多様な空間を生み出し、表参道の欅並木を存分にたのしむことのできる建築を提案したMVRDVの案が採用されました。

GYREの多様な表情に、表参道の欅と雲の多い空が、呼吸を合わせたかのように気持ちよくたたずむ。
建物の外周には回転によって生まれたずれに合わせて外部空間が有機的に現れていて、レストランのテラス席や外部階段として利用され開放されています。
表のずれから外周を回りつながるGYRE裏側の外部階段空間。外部空間の手すりはガラス製で建物の外とのつながりもたのしい。
GYREの外空間からパノラマで渋谷駅方向を眺めることができる。景観の良し悪しは置いといて、キャットストリート越しに視界の抜ける光景は迫力がある。

大きな地図で見る

GYREは張り出し部分の外部が利用ができる点で異なりますが、どことなく同じMVRDV設計のアムステルダム高齢者向け集合住宅WOZOCOの飛び出しデザインと同じたのしさを感じる建物です。GYREは近くに行ったらぜひ感じたい東京の素敵な都市空間です。

GYREについてもっと詳しく!竹中工務店GYREのページ

2013/06/16

ホームの屋根が消えた?!世界遺産の街レーゲンスブルグ中央駅の見事な景観空間

レーゲンスブルクはドイツバイエルン州に位置し、市の中心部に当たる旧市街と、ドナウ川をはさんだ対岸の地区がユネスコの世界遺産に登録されている都市で、ドナウ川とレーゲン川の合流地点に位置しています。レゲーンスブルク中央駅は旧市街の南側に位置しています。

線路空間を跨ぐ通路の側壁はほとんど全てがガラスで作られていて、鉄道空間越しに街を見渡すこともできる、とても明るく開放的なデザインの通路になっています。

遠くまで視界が抜けるこの開放感は、ここを通るという日常の何気ない一瞬に、たのしさや街への愛着を与えてくれる。

ガラス張りの通路からは遠くまでよく見渡せて、これから鉄道で出かけるという時や自分の街に帰ってきた時など、移動時間の気分を盛り上げてくれたりします。

通路から見えるホームの屋根には石が敷いてあり、線路敷きの砂利と重なって地面のように見えるように景観に配慮されています。

ホームへと降りるたびにこの都市のスケールを再認識させてくれる。ドイツやオランダでは良く見る駅空間のデザインですが日本ではほとんど見かけない。

ドイツでは屋根を緑化したり太陽光発電に利用することがほとんどですが、ホームの屋根に線路と同系色の素材を選んで敷くという何気ない都市デザインを垣間見た瞬間でした。


大きな地図で見る

2013/06/03

いまも市民生活の中心!オランダデルフト旧市街の運河を行く水上バス

オランダの運河は歴史的に治水、防衛とライフラインなどの役割を担ってきました。水位は適正に管理されていて多くは今日も輸送などの目的で利用されています。

デルフトでも運河は水上タクシーや自家用ボートで移動したり、多くの場所にかかる橋や建物などの歴史的な建造物とともに美しい都市空間をつくり出しています。

美しい運河を静かに水上バスがやってきました。この場所には橋の上を除いて運河沿いに柵などは無く、時代を超えて都市景観を大切にしていることが感じられる。

旧教会のすぐ隣に小さくてとても美しい運河があります。建物、樹木と運河以外にはほとんど何もない都市景観が保たれていて、市民が歴史的な景観を本当に大切にしていることが伝わってきます。ここはとても狭いので船は通らないと思っていたら、なんと来ました!運転技術すごいです。

狭い運河を進む水上バス、とてもたのしそう!オランダの各都市を訪れた際は水上から街を感じてみるのがおすすめです。

オランダやドイツでは、このような都市空間がその都市のどこか一部にだけあるのではなく、広い面で実際に現在も市民によって利用されていて、適切に維持管理されています。

日本では政策上景観保護が徹底されていないので、保護されてもとても狭いポイント的な景観保護になり、古都の連続性は全く残りません。日本では感じられない古都の感覚がオランダやドイツにはあります。


大きな地図で見る