URBAN DESIGN 365 : 10月 2012

2012/10/25

東京上野公園内の新しいカフェ

美術館、博物館や動物園など様々な施設が立ち並ぶ上野公園内のほぼ中央に2012年4月ごろ2つの新しいカフェがオープンしました。
コンペにより20社程の中から選ばれた2つのカフェがそれぞれ木をふんだんに使った専用の建物の中にあります。東京都美術館側にスターバックスコーヒー、国立西洋美術館側に上野の森パークサイドカフェがありどちらのカフェもとってもにぎわっています。
2012/08

テラス席がたくさんあって気持ちよさそうな空間です

テラス席の近くには愛犬の定位置も確保されています

低層の建物に抜き文字の看板がよく合います

テラス席はこもれびに包まれています



2012/10/19

東京世田谷の広場空間 馬事公苑前けやき広場の都市デザイン

小田急線の千歳船橋駅から千歳通りを歩くこと10分、世田谷通りを左に曲がるとすぐに大きなけやきの空間が目に入ります。そこには世田谷通りから馬事公苑正門までのおよそ200メートルの区間にとても広い幅員約25メートルの歩行者のための街路空間が広がっています。

世田谷通りからけやき広場に少し入ったところ。昼間なのに大きなけやきが心地よい木漏れ日の空間を演出してくれています。世田谷通りに面してカフェや書店などがありまさに都会のオアシスと言える空間!けやき広場内にはベンチも多く程よい感覚を保ってゆっくり座って過ごすこともできます!

けやき広場の街路空間は大部分が歩行者のための空間として設計されています。車道は必要最低限の幅で広場の西側に対面通行で確保されています。車道というより車路と表現するべきこの空間の中央には重厚なポールと鎖による仕切りが設置してあり、最低限の車路機能は果たしつつも駐車はすることはできません。

そのため広場と連続性のある車路となっていて統一感のある良好な広場空間が保たれています。車路を含めた広場空間は舗装材に自然石を多用したデザインで大きな樹木と共に質の高い空間を構成しています。

街路空間の幅に占める歩行者空間の広さがとってもうれしいデザイン!
石畳にタイヤの跡と落ち葉、安定感のあるポールが車路空間を程よく引き締めています。でも道路標識のポールはなぜか白、茶色のタイプのあると思うのですが?!こういうところこそダーク系のポールにすればもう少しなじむかと…。

けやき広場に接して馬事公苑はもとより書店や百貨店、カフェやレストラン、そして東京農業大学の食と農の博物館などの商業や文化施設が集積しており広場では園芸市や陶芸市、区民際などのイベントも開催されています。

東京農業大学の食と農の博物館は広場のほぼ真ん中に位置しています。博物館内には様々な展示や施設のほかにけやき広場の四季を眺められるカフェもあります。広場の中央にある写真の白黒の石はチェス盤をイメージしているそうです。でも本当にチェスもできる本格的なものみたいです。馬事公苑だけに!
世田谷の住宅密集地とは思えないけやきや周囲の樹木の枝振りがとっても爽快です。街灯は低めのものが採用されていて足元の明るさを確保しつつ樹木に光源が向かないように配慮されています。

日本では都市の中でこれほど大きなけやきがまとまっている広場はあまり無いので、時間がない時でも身近に四季を感じてとっても気持ちよく豊かな時間を過ごすことができます。書店でお気に入りの雑誌を購入、カフェでホットのカフェラテを買ってけやき広場で読書、そして馬事公苑を散策して帰る!ここではこんなこともできちゃいます。

日本ではほとんど出会うことは無い巧みにデザインされた広場がここにはあります。けやき広場は落ち着いた雰囲気で馬事公苑や東京農業大学周辺の都市機能や景観要素を程よく繋いでくれています。

都市でこんなに大きなけやきのトンネルの下をゆっくり散策できるんです!ドイツやオランダでは良く出会う気がしますが…日本ではこのような広場は大変貴重です。
馬事公苑との接続部分では車道を渡りますが狭い横断歩道ではなく広場の幅いっぱいに歩行者優先のデザインが採用されていて段差無く馬事公苑側へ道路を横断することができます。日本ではあまり見かけない珍しい都市デザインです。と思って見渡すとやっぱり両端に狭い横断歩道と道路標識がありました、道路交通法?道路構造令?でもあんまり実用的なデザインとは思えません。この横断歩道に一体いくらの維持費が必要なんでしょうか。もしドイツやオランダでこのような街区内道路があったら、そもそも緊急車両や自転車以外の通過交通は通れない都市デザインを採用する気がします。

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最後に、ここを訪れるたびけやき広場さんありがとうと思います。そしてこれからもこのままのいい空間を関係者や利用者の方々みんなで維持してほしいと切に思います。

それからもう一つ思うことがありました。それはけやき広場のような日本のいい都市空間を訪れるたびに思うことです。日本では結構な割合で当初の設計の意図を忘れて設計者の意にそぐわない手を加えたり、違う素材で補修したり、ひどい時は補修ではなくそもそも都市設計者の意図とは全く違うであろう空間に壊して作り変えたりする事例が多いと感じることです。なのでここも大丈夫かといつも不安な思いになります。

特にけやき広場のようにすでにある日本では貴重で良好な都市デザイン空間をもし将来老朽化などで全面的に再整備することになったなら相応の都市設計者を採用し国際的なコンペなどの開催を通して今よりもいいと市民が感じられる空間。その時の時代に合った質の高い空間になるように都市デザインしてほしいと心底思います。けやき広場がこのような目に合わないように心より願っています。

2012/10/16

フランクフルト国際空港の照明デザイン

ドイツフランクフルト国際空港のターミナル内にある照明は天井を向いた間接照明になっています。
窓から入る自然光と天井のルーバーによって拡散した光が包み込むとっても居心地のよい空間でした。
ヨーロッパでは室内でも屋外でも光源が直接目に入るような照明はほとんど見かけません。特に公共空間にある照明はほとんど全てが間接照明になっています。また、多くの場合必要最小限の明るさが維持されていて、2700~3000ケルビンほどの暖かい色みの照明が街を包んでいます。
2006/09

ターミナルからは間近に航空機が見えます!

見る角度によって変わる天井の表情がおもしろい

窓越しの光と照明の光がミックスしてとってもきれい!


2012/10/10

オランダ エンスヘデーの自転車専用レーン

東側はドイツのノルトラインヴェストファーレン州と接しているオランダ東部の街エンスヘデーのラソンデルシンゲル通りの自転車専用レーンです。
エンスヘデー駅から徒歩約10分のところにあります、この通りの道幅はとっても広いです、じゃあとりあえず車道を上下あわせて4車線!なんてことはしません。歩道、駐車帯、自転車専用の車線と車道が上下に1車線それぞれあります。さらに通りの中央には大きな樹木のあるとってもとっても広い中央分離帯もあります。低層の街並みと中央分離帯の芝生と木がとってもきれいです!
オランダやドイツにはどこの街にもよくある標準的な道路ですが日本にあったらピクニックしちゃいそうな感じです。道路空間の使い方によって街は大きく変わると改めて実感する道路でした。
2006/09

中央分離帯の芝生や木が公園のような美しさ!

自転車専用車線はまっすぐ段差無しでしっかり確保されています

電線や横断防止柵もありません、木々がのびのびと風に吹かれています

2012/10/07

駅の豊かな表情となっているガラス屋根!ミュンヘンUバーンのメッセシュタットオスト駅

かつてミュンヘン国際空港があったこの場所には近年メッセ施設、オフィスや住宅、公園などが整備されています。公共交通はいくつかのバス路線とMVGの鉄道路線UバーンのU2が中央駅方面から乗り入れています。

メッセシュタットオスト駅西側の地上出入口は平屋のコンパクトな建物で、それを囲むようにバス停と自転車置き場が整備されています。地上の構造物は駅舎も含めてとてもコンパクトになっていて本当に必要な要素を配置するのみにとどめられていてとても好感が持てます。

屋根の淵をはじめ壁やエレベーターなどにはガラスなどの透過性のある素材が採用されていて、地下駅ながらとても明るい空間となっています。また、屋根のボリュームは構造材も含めてとても薄く金属の質感がとても美しいです。

大きな屋根の両端がガラスとなっています。屋根の下に立つと予想以上に視界が広がり、そこから見える青空と樹木がとっても爽快です!
駅の出入口は大きな交通島の中にあり、周囲はバスが回れるようになっています。この場所からも左のガラス越しに樹木がたっぷり見えます!交通島内は必要際制限の要素で構成されていて、上屋も非常に軽いデザイン。大きな屋根としての機能と視界が抜けるという都市デザインのたのしさを同時に感じることができます。
エスカレーターは足元のセンサーで上下とも利用できます。階段室の周囲も全面にガラスが採用されていて、屋根両端のガラスと共に空間に広がりを与えてくれています。階段室後方にはこれまたガラスの箱のようなエレベーターがあります。
地上からの自然光がたっぷりでとても明るい地下空間。エレベーターは構造材のみが存在しほとんど無いみたいに光と視界が抜けています!屋根にトップライトはありませんが、ここでも屋根両端のガラスのおかげで地下にも豊かな表情を演出してくれています。

駅の東側にはコンクリート打ち放しの大きな吹き抜けとメッセへと続く通路、大きなパークアンドライド利用もできる立体駐車場も整備されています。


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自然光をふんだんに取り入れ、駅を構成する要素がとても簡素。でも、質の高い駅空間を都市にデザインし市民に提供している。ドイツの環境政策の高さを感じることができます。

リーム地区にはショッピングモール、オフィス、住宅やメッセ正面に近いメッセシュタットウエスト、住宅やメッセ東側に近いメッセシュタットオストの2つの駅があり。どちらも地下駅ながら自然光や風をたくさん取り入れた質の高い駅空間となっています。

メッセシュタットオスト駅に関連する投稿
内容も取付け方法もシンプル!ミュンヘン公共交通MVGのLCD運行案内のデザイン

2012/10/03

緑の中のガラスの箱でバスを待つ!ミュンヘンのプファンツェルトプラッツバスストップ

ミュンヘン東駅からメトロバス55番で15分程、Sバーン(S7)ミュンヘンペルラッハ駅から徒歩15分程の距離にあります。メトロバス55番の他に139とナイトバスのN45も乗り入れています。

プファンツェルトプラッツバスストップは、この地区の中心に位置していて周囲には商店、飲食店や銀行が立ち並んでいます。デゥコー社の広告付きシェルターは、ミュンヘンの標準的なデザインで、リアルタイム運行案内表示機とゴミ箱も設置されています。

プファンツェルトプラッツは、南側の噴水広場以外のほとんどがきれいな緑地空間になっています。樹木も大きくシェルターの後ろには水辺空間もあります。バスを待つにはとても気持ちのいい都市空間になっています。

横断防止柵などは無く、バスストップに必要な空間がコンパクトに構成されています。大きな木々の下でゆったりとバスを待つことができます。
プファンツェルトプラッツは小川に沿ってほとんど自然のままの空間で構成され、自然環境の中に都市機能を最低限入れ込んだような都市空間になっています。環境や景観が考慮された、都市デザインの質の高さを感じます。

このようなバスストップ空間は欧州の多くの都市で標準的な構成となっていて、公共交通利用者はとても快適です。雨や風を防ぐことができますし、もしバスストップに早く着いたり、バスが遅れていてもゆったりと過ごすことができます。

デゥコー社の広告付きシェルターなどのシティスケープ事業は、デザイン性に優れ、しかも無償で設置と維持管理がされています。市民、行政から見て都市の維持費、企業から見て社会貢献と広告活動、デザイナーから見て作品活動、3者のメリットは計り知れません。

この他にもデゥコー社は、自転車シェア事業のシクロシティを行うなど、都市にとって無くてはならない存在です。

日本も少しづつ街で見かけるようになってきたデゥコー社のバスストップ、もっと多くの街で見られるようになるといいと思います。


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