都市のインフラとしてトラムを推進する都市では、シンプルで機能的なデザインの車両、停留所、芝生軌道などが整備され、巧みな運賃システム、優先信号機を多様するなど、総合的なトラムシステムへの改良が積極的に行われていて、ますます利用しやすくなっています。
宮島方面へ向けて発車するコンビーノ5000形グリーンムーバー。グリーンを基調としたコンビーノが周囲の木々と共に、都市のクリーンな公共交通を感じさせてくれる。世界の低床トラム車体デザインの中でもトップクラスのデザインのひとつだと言えると思います。1999~2002年に導入された車両ですが、時を経てもなお最新車両としての存在感は変わらない。 |
広島トラムを運営する広島電鉄では、ドイツやオランダのトラムシステムには及ばないものの、日本の中ではとても積極的に改良が進められているトラムのひとつで、平和記念公園、原爆ドーム付近への芝生軌道の導入もそのひとつです。
グリーンのフレームと大きなガラス、世界標準の車両と芝生の軌道が日本に新しいトラムシステムの到来を予感させてくれる。シンプルな電停空間ですが、ドイツやオランダと比較するともう少し簡素な上屋でもいいと感じてしまいます。 |
広島港から海岸通付近の軌道も延伸改良や芝生化が行われています。また、大きいのもでは西広島や横川付近の改良も行われその場所での利便性は向上しています。
今後も停留所の改良、芝生軌道や連接低床車を増やす計画があるそうですから、とてもたのしみなところですが、日本の場合上下分離方式が完全ではなく、民営化とは少し違う、私鉄が多い日本ならではの問題点から整備の速度は非常に遅いと言わざるを得ません。
そのため、特に車両面では新型車両を一度にまとめて導入できないため、車両の種類や色が増えすぎてコストが上がり、利用者から見ると分かりにくくなってしまう傾向があります。電車ファンにとってはいろいろな車両を見られてとてもたのしいという反面、普段利用しない人、特に観光客にとっては車両のデザインが違うことによって車内の段差、座席の位置、路線や行き先が難解になってしまうなどの問題が発生してしまい、ドイツやオランダと比較するとあまり好ましくありません。
本来はドイツシーメンス社製コンビーノ5000形グリーンムーバー5車体連接車の編成数をもう少し増やし、せめて2号線の車種統一などが出来ればなお良かったとは思います。
このようなシンプルな車両はまさに新しいトラムシステムと言うのにふさわしくうれしいのですが、日本の他都市を見ても、ドイツやオランダのように運行車両の多数を占めるまでには、気の遠くなる時間がかかりそうです。
シーメンス社コンビーノ5000形グリーンムーバーどうしのすれ違い風景。次々と車窓に見える、ひとつひとつの電停空間に少々コストをかけすぎた感じは否めませんが、ドイツやオランダのトラムシステムを思わせる都市空間。コックピットのボタン類はシンプルにまとめられ、モダンな空間は後継の5100形、1000形にも引き継がれている。 |
元京都市電の1900形がやってきました。歴史的な旧型車両から最新式の低床車両まで、様々な年代の車両が次々とやってくる広島トラムは見ているだけでもとてもたのしい。 |
ドイツからやってきたコンビーノ5000形グリーンムーバー5車体連接車の後登場した、日本製の5100形グリーンムーバーマックス5車体連接車、2013年から運行開始した、広島トラムのラインカラーとも言えるグリーンではない1000型と共に今日も芝生軌道を快走していることでしょう。広島に行った際はぜひヨーロッパデザインの5000形グリーンムーバーも体感してみることをおすすめします。
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